論文紹介_トウガラシ種間交雑の不和合性の評価

トウガラシ属の種間交雑における交雑能力と不和合性の評価についての論文

Martins, Kellen Coutinho, et al. “Crossability and evaluation of incompatibility barriers in crosses between Capsicum species.” Crop Breeding and Applied Biotechnology 15.3 (2015): 139-145.

背景

トウガラシ属でに種間交雑は難しい。どの種同士でどのような不和合性の症状が出現するかを本研究で評価する。

供試材料

遺伝的に近い種のグループ3つに分類した。その内栽培種を対象とした。

Complex C. annuum:C. annuumC. frutescens, C. chinense, C. chacoense, C. galapagoense

Complex C. baccatumC. baccatum

Complex C. pubescensC. cardenasii, C. eximium, C. pubescens

結果

  • 交雑能力と花粉生存率の調査

交雑し,種子のある果実数,発芽し成長した植物体数,そのF1植物の花粉稔実率(アレキサンダー染色法)を調査した。

トウガラシ属の種間交雑の交雑能力の結果

C. frutescens×C. chinenseでのみ交雑が高い割合で成功した。この2種がComplex C. annuumの中でも近い種であると考えられる。

花粉稔実率に注目しても,F1植物の生存率と相関した結果となった。果実の形成が雄性配偶体形成に関係すると考えられる。

  • C. frutescens×C. chinenseの雑種の特徴

F1植物は草丈と幅は両親よりも大きかったが,その他の項目は両親の中間型を示し,雑種であることが確認できた。

  • C. frutescens×C.baccatumの異常個体について

これらの異常は病害応答に関連する表現型に類似している。他にも座止になっている植物体もみつかった。矢澤進, 佐藤隆徳, and 並木隆和. “トウガラシ属の種間雑種に発現する座止及びウイルス病類似症状.” 園芸學會雜誌 58.4 (1990): 935-943.でも報告のある症状とほとんど同じである。

  • 花粉管の観察

Fig2ABCDより,両親は花粉伸張に異常をなかった。

C. annuum×C. baccatumにも花粉伸張に異常はなかった(FigEF)

C. frutescens×C. baccatumでは,花粉管の発芽伸張はあったが(Fig2GJHK),子房には到達しなかった(Fig2IL)。

まとめ

トウガラシ属の不和合性は強く,受精前・受精前の両方で生殖的隔離があることが明らかになった。

kum
大学院生。研究対象はトウガラシ。 トウガラシの知見を記します。 その他活動も広報いたします。

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